急性扁桃炎とはどんな病気?
慢性糸球体腎炎(IGA腎症)

慢性糸球体腎炎(IGA腎症)

慢性糸球体腎炎とは、糸球体に慢性的な炎症が起こるために、血尿や蛋白尿が認められる病気です。慢性糸球体腎炎は、広い意味では「ネフローゼ症候群(尿中にたくさん蛋白質が出てしまうことで浮腫(ふしゅ:むくみ)が起こる病気の総称)」を起こす病気を含む一次性の糸球体腎炎のすべてを指しますが、ここでは、扁桃炎に関連する「IgA腎症」を中心に説明します。
IgAとは「免疫グロブリン(Immunoglobulin)A」の略で、本来は免疫物質のひとつとして生体を守っています。ところが、風邪や扁桃炎などの病気に罹った時に、少し違ったタイプのIgAが作られてしまうことがあります。すると、その少し違ったIgAは、腎臓の糸球体に沈着してしまうので糸球体は炎症を起こして、血尿や蛋白尿が現われます。
なお、IgA腎症は20代前半に多い病気ですが、10歳以下でも50歳以上でも発症します。

原因

IgAは、本来、喉(のど)、気管支、腸などの粘膜を外敵から守っている物質です。ところが、これらの部位に炎症が起きていて粘膜が弱くなっていると、感染した病原体の一部とIgAが免疫複合体を作って血液中に入りこんでしまいます。
血液中に入りこんだ免疫複合体は、当然腎臓に流れこみます。そして、その免疫複合体は腎臓の糸球体のフィルターにひっかかってしまうので、糸球体は2~3カ月をかけてジワジワと炎症を起こし、組織自体が破壊されていきます。

原因

症状の現れ方

ほとんどの場合、尿量が減るなどの自覚症状はなく、腎機能は正常な方がほとんどです。そこで、健診時の尿検査で発見されることが多い病気です。
また、扁桃炎などで38℃を超える高熱が出たときに、コーラ色の血尿が出て分かることもあります。日本では目で見て分かる血尿で発見される患者さんは約10%、腎機能に障害の出るネフローゼ症候群を起こして発見される患者さんは5%以下とされています。

症状の現れ方

診断

診断

自覚症状はないものの尿検査を行うと血尿と蛋白尿が認められます。発症初期には蛋白尿は認められないこともありますが、血尿は認められ、炎症の強さを反映する重要な症状です。
診断を確定するためには腎生検が必要です。また、扁桃炎の感染後に発症するので、急性糸球体腎症との鑑別診断に迷うことがあり、扁桃炎を発症してからの経過と併せて総合的に診断することが必要となります。

治療

治療

急性期は安静を保ち、溶連菌による扁桃炎などの先行感染がはっきりしている場合には、まず、原因菌に対して有効な抗生剤を投与します。次に症状に応じた治療として、関節痛には、アセトアミノフェンなどの投与や経皮鎮痛消炎剤を用います。腹痛が強い場合には入院が必要な場合もあります。抗生剤とともにステロイドの注射などを行ったり、腸管に潰瘍(かいよう)が確認された場合には、抗潰瘍薬を加えることもあります。
また、長期に渡り腹痛や関節痛が持続する場合で、血液凝固第Ⅷ因子が低下している場合には、同因子の補充を考慮します。また、紫斑病性腎炎が出現し、蛋白尿が悪化する場合には小児腎臓医の受診が必要と考えます。紫斑病性腎炎が長期間にわたり特定の薬による治療が必要な場合には、「小児慢性特定疾患」として医療費の補助を受けることができますので、主治医か保健所へお尋ねください。

ページトップへ戻る