急性扁桃炎は、問診で患者さんの症状をお聞きするとともに、喉(のど)の奥にある扁桃の状態を観察することによって容易に診断できます。
また、血液検査をすれば白血球数の増加とCRP値(炎症の程度を示す検査値)の上昇を認めることができますし、細菌にもっとも効果のある抗生剤を選択するために、喉をこすった綿棒を培地という細菌を育てる容器に入れて3日間ほど細菌を繁殖させれば、溶連菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌――などが検出されることが多いです。
しかし、急性扁桃炎ならではというような特別の検査はありません。
急性扁桃炎は、体内によく存在する菌(常在菌)が原因となって、扁桃に炎症を起こす病気で、しばしば扁桃を腫らし始めるのは2~3歳ごろからです。
口蓋扁桃は4~8歳の時期に活動が最も活発になり、大きさも最大になりますが、その後、徐々に小さくなり、通常は、大人になるとほとんど見えなくなります。
子どものころに扁桃が大きいのは、病原体を体内に取り込まないように扁桃が頑張っているからと考えていいでしょう。
しかし、お子さんはまだ十分な免疫力が備わっていませんし体力もないので、お子さんはよく急性扁桃炎を発症するのです。
個人差が大きいのですが、急性扁桃炎を繰り返すようになると慢性扁桃炎となり、小学校に入学する前の時期に最も多くみられます。
扁桃が繰り返して炎症を起こしているうちに扁桃が先行病巣となり、他の大きな病気を引き起こすことがあります。
例えば、溶連菌が原因となって扁桃炎を発症している場合は、腎炎やリウマチ熱、心内膜炎といった命にも関わりかねない病気です。
扁桃炎を繰り返す場合、手術による扁桃の摘出も考慮の対象となります。ただし、扁桃には細菌やウイルスなどが体内に侵入するのを阻止する役割があるわけですから、どんな場合でもむやみに扁桃を摘出すればいいわけではありません。
扁桃の摘出手術を行うかどうかについては、扁桃炎に年間何回くらいかかるかなど、一定の基準にしたがって、お子さんの保護者と医師が、十分に相談して決めます。