急性扁桃炎の原因は、ずばり「病原体による感染」ですが、扁桃炎を起こす病原体にはどのようなものがあるのでしょう?
実は、扁桃炎の病原体は特別なものではなく、普通にどこにでもいる細菌やウイルスなのです。
例えば代表的な細菌には、溶連菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌――など、
ウイルスには、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、EBウイルス、エンテロウイルス――などがあります。
なお、ここでいうインフルエンザ菌は、発見された経緯からインフルエンザという名称が付いていますが、毎年冬季の集団感染が話題となるインフルエンザの病原体、インフルエンザウイルスとは異なります。
これらのどこにでもいる病原体の感染力が、ヒトの免疫力に勝ると急性扁桃炎が発症してしまいます。
口を大きく開けて喉の奥を見ると、両脇が赤く腫れていたり、扁桃に白いものが付着していることが分かります。
この段階で適切な治療をすれば、比較的早く症状は治まりますが、急性扁桃炎が重症化してしまうと扁桃の中だけでなく、周りにも炎症が及んでしまい、この状態を「扁桃周囲炎」と呼びます。さらに悪化して、扁桃の周りのすきまに膿(うみ)がたまってくると「扁桃周囲膿瘍(のうよう)」と呼び、ここまで進行すると入院が必要となります。
扁桃周囲膿瘍では、扁桃の周りに貯まった膿が身体へ拡がり、首に膿が貯まる「深頸部(しんけいぶ)膿瘍」や胸に膿が貯まる「縦隔(じゅうかく)膿瘍」といった命に関わる病気へ進行するおそれがあるからです。
特に、免疫力が不十分な小さいお子さんや糖尿病や腎臓病をお持ちの方は、病気の進行が早いため注意が必要です。