掌蹠膿疱症は膿(うみ)が溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひらや足の裏に数多くできる病気で、周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返します。
皮疹は、境界がはっきりした紅斑で、落屑(らくせつ)局面に多数の膿疱を持ちます。手のひらや足の裏が細菌やウイルスに感染しているわけではないのに、膿疱ができる病気と考えてください。
はっきりとした原因は、現在のところは不明ですが、扁桃腺や歯、鼻などに細菌による慢性炎症があると掌蹠膿疱症が生じることがあります。このような病変を病巣感染と呼びます。また、扁桃炎などの症状を自覚していなくても、耳鼻咽喉科を受診すると炎症が起きているのがみつかる場合もあります。
なお、喫煙者に多い病気ですので、喫煙との関係も考えられます。
手のひらや足の裏、とくに土踏まずの部分に膿疱ができ、周囲が赤みを持ちます。赤みはしだいにお互いがくっついて、手のひらや足の裏全体の皮がむけて赤くなり、そのなかに膿疱やかさぶたが見えるようになります。
皮膚科専門医が見れば特徴的な症状からすぐ掌蹠膿疱症と分かりますが、分かりにくいときは、皮膚をとって顕微鏡で調べる検査(皮膚生検)を行うこともあります。
ステロイド薬の外用、ビタミンA誘導体のエトレチナートや免疫抑制薬の内服、紫外線療法などを行いますが、短期間で完治するのは難しい病気です。
また、扁桃炎など元の病気を治療するのは言うまでもありません。
第一選択として患部に外用薬を塗布しますが、かゆみが強かったり、新しい皮疹が次から次へとたくさん出る場合は強いステロイド軟膏を使用し、良くなってきたら弱いステロイド軟膏や活性型ビタミンD3軟膏に変更していきます。これは、ステロイド薬を急に止めることによる副作用を抑えるために重要なポイントですので、必ず医師の指示通りに用いてください。
掌蹠膿疱症は治すのが難しい病気ですが、ほとんどの場合が3~7年で自然に治ってしまうことが分かっています。そこで、その間は対症療法により、症状を軽くして、生活する上で支障がないようにコントロールしていくのが大切です。